拘束防水マスク Lite
ミシンなしで作る簡易版

これまでオリジナルな立体型マスクとして「拘束防水マスク」シリーズを3つ作りました。どれもプリーツマスクでは得られない、顔全体をすっぽり包む素晴しい着用感と息苦しさに満足しています。

これらは作るのに手間がかかる上ミシンを必要とするため、その素晴しさ(しつこいですが)をみなさまに体験していただく機会がなかなかありませんでした。

そこで今回は家庭科というより図工的な手法で、なんとかこのマスクを作れないかと考えてみました。ここをご覧の方の多くは男性で、ミシンや裁縫道具をお持ちの方はあまりいないと思います。マスクを作るためにわざわざ設備投資(?)をしたり親に道具を借りて「何作るの?」と疑われる事もなく(笑)、自室プレイ用のマスクが作れますよ。興味がありましたらぜひトライしてみてください。


1.材料

写真1 用意するもの (クリックで拡大)

上段 左から

ゴム紐 直径3mmで断面が丸いタイプ。
結果的には1mぐらいあれば足りますが、長さを調節する際に短く切りすぎる事もあるので、1.5mぐらい用意しておくといいです。
手芸用カラビナ こういうやつです。ゴム紐を後頭部で結ぶのに使います。
レインコート用
補修シート
ビニールやナイロン生地に糊が付いているテープです。
糸で縫う代わりにこれで貼り合わせます。
透明タイプ(ビニール)が見た目きれいに仕上がります。
すき間テープ 建具用です。すき間からのエア漏れを防ぐのに使います。
接着剤系の独特な臭いがあるので、買ったら開封して1日ぐらい放置しておきます。
下段 左から

マスクにする生地 写真には青いビニールが写っていますが、実際に使ったのはべつの素材です。(後述)
ハトメ ゴム紐を通す穴にはめます。
引っぱられても穴が裂けないようにするための金属リングです。
スニーカーの紐通し穴に付いているのと同じ物です。
ハトメを打つ本格的な道具としてはこういうのがありますが、簡易的には上の写真のような、金槌で打つ簡易治具が付いてるタイプのほうが安いです。
手芸用ワイヤー ノーズワイヤーに使います。
写真のは、PVCで被覆されたアルミの針金で、直径が2mmです。
(いつも自作マスクで使っているものです)
ベルクロ いわゆるマジックテープ。首ベルトに付けます。
裏面がシールになっているタイプを使います。
写真にないもの

熱収縮チューブ ノーズワイヤーの先端にかぶせ、マスクを突き破らないようにするためのものです。
ワイヤーの直径に合うサイズのものを手芸店で入手します。
当てガーゼ マスクが大きいので、中に詰める物もそれなりのボリュームが必要です。当てガーゼというより充填物? 医療用ガーゼでもいいですが、おすすめはガーゼマスク。安いのを大量に買ってきて、ゴムを抜いてマスク本体だけ内側に敷き詰めます。畳んだだけのガーゼと違ってよれなくていいですよ。

これらの入手先はほとんどが手芸店になります。手芸店は女の園(実際には熟女の園)で、最初は踏み込むのに勇気が要りますが、べつに怪しい物を買うわけではないのでがんばりましょう(笑)。


2.生地について

基本的にはお好みでどうぞ…なのですが、適した素材には条件があります。

まず、ふちどりをしないので、綿などの普通の布では端からほつれてしまいます。エナメルやビニールならその心配はありません。

次に、十分な引っぱり強度があることです。普通の布は意外と丈夫で、引っぱってもそう切れたり伸びたりしません。縦横に織ってあるので強いんですね。その点、ビニールは弱いです。(実はこれで一度失敗しました)

これらを考え合わせると、ベストな素材はビニールコーティングされた布です。コーティングのおかげでほつれる心配もなく、裏打ち布のおかげで伸びにも強いです。互いに補強し合うというか。売られている生地でいうと、テーブルクロス用のビニール生地とか、レインコート用の生地(ゴム引きナイロン)などが適しているといえそうです。

いずれも通気性はありませんが、もし息苦しすぎるようなら、針穴を開ければOKです。

写真2 最初に買った、ただのビニール。試着した瞬間、びろ〜んと伸びてしまい大失敗。


3.道具について

特別な道具は要りませんが、よく切れるハサミが必要です。布は切れにくいので。
理想は裁ちばさみですが、わざわざ買うのはもったいないかな?


4.作り方

まずは生地の切り出しです。
形は拘束防水マスク1号から型取りして、ちょっとアレンジしました。

写真3 型紙(クリックで拡大)

この型紙はマスクを横から見た形になっています。
成人男性に合わせたサイズになっています。
画像に写り込んでいるスケールが実寸になるよう拡大/縮小してプリンターで印刷します。

これを接合面と書かれた辺を背にして左右対称に展開した形を型紙とします。
するとこうなります。

写真4 生地を切り出したところ。今回使用した生地は「自作マスク通販のコーナー」でも取り扱っているパール ビニールです。

展開した形にする理由は、後で接合する手間を極力省くためです。
中央の上下V字形に切れ込んでいる所を、後ほどテープで貼り合わせます。
曲線にテープを貼るのは難しいので、貼り合わせ面は直線にします。ここが簡易版独自の制約になります。

なおスキャナの都合で型紙の左端が少し切れているので、数cm延長してください。このままだと首周りが届かないと思います。

切り出しを終えたら、ゴム紐を通すハトメを付けます。

ハトメの打ち方(パッケージの裏面より)。机でやるとボコボコに跡が付くので端材などをあてがう必要があります。

写真5 ハトメを付けました。家の中でトンカチを叩くのがはばかられる場合は、コンクリの上で軽く叩いて、幅広のペンチでつぶすといいいです。

生地1枚では「引っぱり」に弱いかな? と思ったので、念のために「レインコート補修テープ」を貼って、その上から穴を開けました。使ったハトメの呼びサイズは5mmです。この大きさだと下穴は書類パンチで開けるとちょうどいいです。きれいな円形に空くので裂ける心配もないです。

続いては左右の縫合です。
マスクを立体にすべく、接合面の上下2辺を貼り合わせます。
実はここが一番難しいです。

写真6 左右を貼り合わせたところ。左がマスクの下、右が上です。

生地のふちをぴったり合わせて、レインコート補修テープで表裏から貼ります。机の上でこういう形を押さえながらテープを貼っていく作業は、不器用な私には向かないです(^^;)。テープがしわになったり曲がったり、左右の合わせ目にどうしてもすき間が空いてしまったり。何度かやり直した結果が上の写真です。自分の下手さ加減に情けなくなります。正直な話、ミシンで縫うほうがぜんぜん楽〜。

写真7 マスクを上から見たところ。すき間が空いているのがわかりますね。テープを貼ってあるので、エア漏れは大丈夫ですが。

ここまで来れば出来たも同然です。
次はノーズワイヤー入れますよ。

写真8 マスクの内側。ノーズワイヤーを入れたところです。この形だとワイヤーが頬骨の位置に来ますが、ぶ厚いガーゼを当てるなら問題ないです。
ハトメは左右に2つずつ付けます。耳の上と下にくるように。

ソフトなワイヤーを使ったので2本入れました。マスクの内側に当ててレインコート補修テープで留めます。両端が下を向いているのは、ワイヤーが「くるりん」と回転しないようにするためです。

ワイヤーの先端には熱収縮チューブを被せてあぶります。熱源はアイロンでもヘアドライヤーでもOKです。ガスコンロだとパワーが強すぎるかも(笑)。

あと、写真8ではすき間テープを貼りました。位置はお好みでどうぞ。下顎の周囲を取り巻くように貼ると、いい感じに息苦しいですよ♪

そしてベルクロを貼ります。
この工程、貼ってばっかりですね(笑)

写真9 貼るタイプのベルクロ。糊はかなり強力です。ベルクロより弱かったら意味ないですもんね(笑)。うっかり腕にくっ付くと毛が抜けます(笑)。

貼る位置は現物(首)合わせです(^^;)。
トゲトゲの硬いほうを外に向けると首がチクチクしなくていいです。

というわけで完成です。

写真10 全体図。(クリックで拡大)

いかがでしょう、それらしいのが出来たと思いませんか?

言い忘れましたが(^^;)ハトメ穴には上下2段、ゴム紐を通します。
下は左右それぞれに輪を作り、写真10のようにカラビナを介します。
上は(写真にありませんが)カラビナを使わず、左右をゴムで直接結んで輪にします。
右図は装着したイメージです。


5.試着しますよ

装着のしかた:

  1. マスクを顔に当て、ベストな位置で押さえる。
  2. 上のゴム紐の輪を頭からかぶる。
  3. 首ベルトを巻いてベルクロを貼る。
  4. 下のハーネスを結合する。
  5. ノーズワイヤーを曲げる。
では、いざ!

写真11 着用写真。マスクの中にはインナーマスクを入れてみました。

おぉ〜、いいじゃんこれ!

簡易版ゆえ多少気になるところはありますが、プリーツマスクとは段違いの密着感!
顔全体がぶ厚いガーゼにふんわり覆われるこの感触!
エア漏れでスカスカかと思いきや、かなり息苦しいですよ(笑)。その気密性は見た目通りです。
これなら立体マスクの良さをじゅうぶんに味わえます。

着用感もさることながら、このフェティッシュなルックスにも満足です。
いや〜、やっぱり光沢生地っていいもんですねー。(前作はほぼつや消しだったので)

制作費1,000円、制作時間は3時間。
ぶっちゃけプリーツマスクを作るのと大差ないです。これは大満足。

改善点としては、先に書いた左右の接合が難しいところ
これは何とかしたいですねー。現状では子供の工作レベルの仕上がりなので。ラミネーターで融着すればいいんでしょうけど、このために買うのもどうかと。

あと挙げるとすれば、ビニールっぽい生地がよれてしわになると、そこが尖って少しチクチクすることです。裏地を追加するか、首にハンカチ巻けばいいかな?

ところで、自作マスクを"研究"する立場としてはこのマスク、もうひとつの用途を見つけました。
それは構造検討モデルとして活用することです。
ワイヤーはどこに入れたら効果的かとか、ゴム紐はどこにつなげば理想のテンションがかかるかとか。

今まで作ったマスクは作るのに手間がかかるので、いったん完成したものを次のモデルの検討のために犠牲にするのはもったいなかったのです。その点これなら切った貼ったでぱっと作れますので、何かアイディアがひらめいたら、見た目はさておき、そのアイディアが有効かどうかだけを検証することができます。型紙レベルであれこれ考えても、しょせんは紙ですから、実際の着用感までは分らないんですね。これなら、やってみてダメならはがせばいい(笑)。極端な話、マスクのふち一面にハトメをたくさん付けて、ゴム紐の取付位置を逐一試してもいいわけです。今回採用した「コの字形ノーズワイヤー」も実は、簡易版のための工夫ではなく、次期モデルの先行試作だったりします。
市販マスクのノーズワイヤーが平べったい断面を採る理由がようやく解りました。

そんなわけで今回の企画、「道具に依らず誰でも作れる」「立体マスクの研究に役立つ」という2つの大きな収穫がありました。この成果を拘束防水マスク4号に活かしたいと思います。
このマスク、近いうちに原形をとどめないような「いけにえ」になるかも…。

2010.7.4

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