ナイロン+裏ゴム張り 全頭マスク
挑戦あるのみ (前編)

全頭マスク。
着用派マスクフェチには「包まれ感」が魅力的です。
市販品はありますが、マスクの自作を始めた私は、いつか自分で作ってみたいと思ってました。
でも、頭全体を包むその形状は縫製が難しそうで、なかなかチャレンジする決心がつきませんでした。

重い腰を上げて取り組む気になったきっかけは、1枚の写真。

エナメルの全頭マスクです。
小さな呼吸穴がある以外、鼻と口をすっぽり包んでいて、全体的にふっくらした感じです。こんなのを着けたら、息がふわーっとこもって、普通のマスクでは味わえない包まれ感が得られそうです。着けてみたい…。

自作するにあたって一番難しそうなのは、立体(頭部)にフィットさせる形状を、平面(布)からどうやって切り出すかという点です。地球を地図に展開するような苦労が想像されます。

型紙があればよいのですが、全頭マスクの型紙なんて市販のパターン本には載ってません(笑)。webでさんざん探しました。

写真1

参考になったのはプロレスマスクを自作しているサイトです。男でミシンを操るのはコスプレ衣装の自作ぐらいかと思ってたら、意外や熱心なマニアがたくさんいることを知りました。中にはオーダーを受けて作ってる人もいたりして、出来映えを見て驚きました。プロレスマスクはただの全頭マスクと違って模様が入ってますよね。タイガーマスクなら虎の模様とか。それを別パーツで作ってマスクに縫い付けたりと、すごいテクニックを駆使しています。

いろいろ調べた結果、どうやら写真2のように4分割すれば良さそうだと分りました。型紙は見つけられなかったものの、切り出した生地の写真を載せているサイトがあったので、それを参考にしました。

全頭マスクの分割方法はまた違うようですが、それは次の課題ということで。

写真2

というわけでさっそく型紙作りです。

写真3 今回の型紙。

いきなり布で縫っちゃってますが、これが今回の型紙です。紙で作ると被った瞬間に破けそうだったのと、少しでも早く着用感を味わいたかったので、手持ちの布でさくっと作りました。フリーハンドで作図して適当に縫い、試着してたるんでる箇所をつまんでショートカットする、という作業の繰り返し。目出し穴を開けるのは形が決まってからなので、途中の作業はすべて手探りで行ないました。

目のふちにはバイアステープも縫い付けました。こんなにカーブのきついラインに沿ってちゃんと縫い付けられるのかが不安だったので試してみました。結果はまあまあ。

この「型紙」、意外にもいい着用感だったので、これでしばらく遊んでたのはナイショです。

写真4 あくまでも型紙なので、形の割り出しが済んだらバラバラにしますよ。

さて、形が決まれば次は素材選びです。

写真1のエナメルはとっても魅力的ですが、この素材、実はとても縫いにくいんですね。表面がぺたぺたしてるので、ミシンの上で滑ってくれないんですよ。今回は縫製自体に苦労しそうだったので、あえてパスしました。
悩んだ末に拘束防水マスク3号と同じ素材にしました。組み合わせて使うこともあるかな?と思ったので。表はナイロン、裏はゴム引き布、そして芯にはフェルトを入れます。同じ素材で形を変えたら、着用感はどう変わるかも興味あります。
拘束防水マスク3号

この素材を選んだ理由はほかにもあって、写真4の型紙を被って鏡を見たところ、まるでけっこう仮面スケキヨマスクみたいに見えてしまったんですね(笑)。白に近い色はどうも…(^^;)
あと、裏地のゴム引き布は、汗をかくことも考えてのチョイスです。拘束防水マスク3号をウォーキングで着けた結果から、耐久性はこれがベストと判断しました。

写真5 写真4の型紙に合わせて生地を切り出します。4枚×3層ぶんを切り出すのに1時間近くかかってます(^^;)。

今回はこんな物を使ってみました(写真6)。これは熱接着両面シートといい、布同士を貼り合わせるためのシートです。乾いた糊が剥離紙に付いていて、アイロンで融解して布に貼り付けます。

今までは表地と裏地を合わせるのに、周囲を仮縫い→ミシンで本縫い→余白を切り落とす、という手順でやっており、大きな生地を縫うのにとても時間がかかってました。これならアイロンをかける時間だけで済みますね。

ハギレで試してみたところ、まるで工場で加工したみたいにきれいに貼り付きました。いろいろ応用できそうです。たとえばナイロンとゴム引き布を貼り合わせれば好きな色のレインコートが作れますね(^^;)。

欠点は生地がやや硬くなることです。縫い合わせなら表地と裏地の間にすき間ができますので、しなやかさは保たれます。しかしこのシートで貼付けると、生地全面が一体化するので、一枚ものの厚手の生地みたいになります。なのでプリーツマスクのように、生地のしなやかさが欲しい場合は不向きです。

写真6 熱接着両面シート
(クロバー(株)製)

というわけで今回の全頭マスク、こういう構成になりました。写真6のシートは50cm×92cm。1パックをほとんど使い切りました。やっぱり大きなものを作ると材料費がかかりますね。ふだん作っているマスクがいかにお手軽かよく分りました。
写真7 構造図

こういう厚手の素材はミシンで縫うのが大変です。糸が切れたり、下手すると針が通らなかったり。特に厳しいのは、分割したパーツどうしを接合する箇所です。ここは厚さが倍になります。拘束防水マスク3号を作った時はずいぶん苦労しました。

そこで写真8のように、フェルト芯は縫いしろのぶんだけ小さい寸法にしました。これなら生地の厚さは(ナイロン+ゴム引き布)×2なので、じゅうぶん縫えます。

この小細工が、あとで思わぬ苦労のたねになるとは…

写真8 断面図


ところで、写真5で切り出した生地の形、型紙と違うのにお気づきでしょうか?
マスクの下のほうがコの字形に飛び出てますよね。これは拘束防水マスクを応用したアイディアです。

市販の全頭マスクは写真9のような編み上げ式になっています。これだと締め付け具合を自由に調節できる反面、装着が面倒です。緩めただけでは頭が通らないので、いったんほどいて被ってから紐を通すことになります。「型紙」を被った時に気がつきました。

また、窒息しそうになったらすぐ脱げないと危険です。開口部があるマスクなら大丈夫かもしれませんが、なにせ私が作るマスクは息苦しさ命なので…。

写真9 編み上げ

そこで、上半分は編み上げに、下半分はベルクロで留めることにしました。これならヤバくなった時にベリッと剥がせば空気の通り道を確保できます。ベルクロを貼ると生地が硬くなるので、曲率の緩い下半分だけにします。

というわけで、ベルクロの縫い付けからスタートです。

写真10 ベルクロを縫い付けます。これは右側面の内側。
写真11 外側から見たところ。生地は裏地の上にフェルト芯だけ貼った状態でベルクロを付けてます。フェルト芯は実寸、裏地は縫いしろ込みの寸法で切り出してあります。


写真10写真11を図解するとこんな感じです(写真12)。ベルクロの縫い目が表に出ないように、芯と裏地だけ合わせた状態でベルクロを付け、表地はその後で重ねます。このへんも拘束防水マスクシリーズの応用です。

まあ、見た目を意識したとはいえ、誰か見せるわけじゃないんですけどね(笑)。

写真12

写真13 こんな風に縫い目が隠れます。四角いベルクロが浮き出ているのが見えるでしょうか。
写真14 左右ともベルクロを付け終わったところ。生地の切り出しからここまで約1日。

次は目出し穴を開けますよ。
左右を合わせる前にやっておかないと後が大変です。

写真15 穴をパチンと。

型紙に合わせて穴の形をマーキングしたら、ロータリーポンチで開けます。
ここからハサミを差し込んで、目の形にくり抜きます。

写真16 あけましておめでとうございます。

ポンチ穴のところが凸凹してますが、バイアステープで隠れるので問題ないです。

写真17 ニットテープ

いつもプリーツマスクで使っているバイアステープは、ぱりっとしたワイシャツのような素材で伸縮性がないので、目出し穴のように曲率がきついカーブに沿わせるのは難しそうです。今回は伸縮性の高いニットのテープを買ってきました。ふちがブヨブヨになって下手くそに見えるので、普段はあまり使わないんですよ。

写真18 ニットテープを縫い付けますよ。まず仮縫いしてから、ミシンで本縫いします。

小さい円をふちどりするのは難しいですね。最初と最後がきれいに合わなかったり、ミシンを進める時に舵を切るタイミングがつかめなくて縫い目がよたったり。

写真19 キスシーン。

ようやく第一ハードルをクリアしました。
この後、もっと高いハードルが待っています。

(後編へ続く)

2010.9.24

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