二重底マスク
過大包装は吉か凶か?

新しい設計のマスクを作るきっかけは、大きく分けて2つあります。

ひとつは「前回のマスクの欠点を改良する」という目的です。そしてもうひとつは、新しいアイディアを採り入れて試作することです。今回はどちらかといえば後者の要素が強い内容です。

写真1 今回のアイディア、二重底構造。

写真1は今回思いついたアイディアです。
マスクの外殻と内張りを異なる形で作ってみようというものです。

着用感は内張りに示す形のほうが望ましいです。当てガーゼが顔によくフィットし、唇でその感触を味わうのに適しています。「息を吸って張り付いた時のマスクの着用感が好き」という人にはこの形が向いてます。その感触がずっと続きます(^^)。

拘束防水マスク4(右)はこの形で作ったのですが、そうすると鼻が飛び出た外観になってしまいます。家で着けるならともかく、外では人目を引くこと請け合いですね(笑)。

となると写真1外殻のようなプレーンなカーブにしたいですね。

拘束防水マスク4

というわけで、着用感とルックスを両立させるために二重底構造にトライしました。成功したら「拘束防水マスク」シリーズや通勤用マスクにも採用する予定です。
果たして結果はいかに。

写真2 今回は2枚×2層構造です。まずは生地の切り出しから。

今回は生地選びに悩みました。

最終的に4枚重なるのであまり厚い生地は使えません。しかし外殻の形状を保つにはそれなりにしっかりした「芯」が要ります。そこで選んだのが写真2の起毛フェルトです。100%化繊で、片面がつるつる、もう片面がフェルトのような起毛になってます。
これを外殻の裏地にします。

いっぽう内張りは顔に張り付くので、"記憶形状性"はさほど要りません。適当に綿シーチング生地を使いました。

ところで写真2をよく見ると、最も外側と最も内側がピンクサテンになってますね。
はい、今回のマスクは両面サテンです\(^o^)/ う〜んマニアック。見えないところにオシャレというか(笑)。通勤用マスクをこういう素材で作って、電車の中で人知れずサテンにすりすりして楽しんでみたい(笑)。ゴムを耳に掛ける方式にしたのはその試作のためです。(写真1)

写真3 内張りと外殻をそれぞれ縫い合わせますよ。

あれ、外殻と内張り、ずいぶん形が違いますね。
鼻筋のラインが若干違う程度じゃなかったの?
実はこういう違いがあるのです。

写真4 生地は左右一体で切り出し、ピンク色の線を縫合します。

内張りは、皮下脂肪の薄い鼻筋に縫い目が来ないよう、上部がつながった形にしました。「台湾風マスク」などと同じ構造です。いっぽう外殻は、正面の見た目をすっきりさせるため、中央が連続した形になっています。それぞれ展開すると写真3の形になるわけですね。

写真5 外殻と内張りが出来ましたよ。内張りは、この内側がサテンになってます(^^)
写真6 あ…。

重ねてみたところ、外殻がちょっと大きすぎました。orz
写真6ではみ出ている「辺」で2つ折りになっているので、ここを切り落とすわけにはいきません。
なるべく正確に型紙を作って、慎重に切り出したのですが…。

気を取り直して作業を進めます。
いよいよ2つを合体させますよ。

写真7 合体させて中を開いたところ。う〜んフェティッシュ。見てるだけでムラムラしてきますよ(笑)。両面がサテンの立体マスクは、今のところ世界でこの1個だけです(^-^)。

ここで2番目の失敗が。
写真7の拡大部分でお分かりのように、外殻と内張りが乖離してます。面の角度が急激に変わるこの部分はすごく縫いにくいので、縫いやすい端のほうから縫ったらこのザマですよ。ここを基準にして左右端へ向かって縫うべきでした。問題を先送りにする私の性格が災いしたと。orz

言われてみれば「そんなの当然じゃん」というレベルですが、なにせ初めての設計ゆえ、実際にやってみないと気づかないことはたくさんあります。こんなマスクの作り方なんかどこにも載ってないし(笑)。お、開き直ったなw

写真8 耳紐の取付部。マスクの内側から見た図です。
写真9 こんな感じでゴムを通します。末端をどう処理するかという問題は先送りします(笑)。

今回はハトメをやめ、バイアステープを延長して折り返してループを作ってみました。縫製が粗いですが強度は大丈夫そうです。

というわけでできあがり。

写真10 外側。

ピンクサテン プリーツマスク」以来ひさびさのピンクのマスク。きれいですね。私は心情的には男の娘なのでこういう色が大好きです(笑)。

やっぱり外殻が大きすぎ。しかも角が尖ってますね。
作ってる途中で、縫いやすいようにアイロンで折り目を付けたんですよ。でもよく考えたら、内張りを合体させたら、もうアイロンをかけて折り目をつぶすことは出来ないんですね。内張りがしわくちゃになっちゃうので。せっかく左右一体で作ったのに折り目が付いちゃ台無しですねー。

写真11 内側はこんな感じ。中央のラインが顔に沿ったカーブになってるのですが、写真だとよく分りませんね(笑)。

では、いざ試着!

写真12 二重底マスク (制作時間 : 約6時間)
写真13 斜め方向から。アメリカの使い捨てマスクみたいに尖ってます(;_;)

うーん、どこで形を間違えたのか。耳よりずいぶん下がってますね。
あと、喉のところが尖りすぎ。orz

着用感はすごく軽いです。外側と内側に分離しているので、内側の感触だけが肌に伝わります。外側はその向こうに「だら〜ん」と垂れてる感じがします。

外側の「サテン+起毛フェルト」はいいですね。表面はツルツルしていて、中は綿が入っているような感触。スキーウェアのミニチュアみたいです(笑)。

内側のサテンもすごく気持ちいいです(*´д`*)。用もないのに口をぱくぱくさせたくなります(笑)。今回の素材で普通の立体マスクを作ってみたいですねー。

外側がだら〜ん」を図解するとこうなります。外側のマスクには顔を押し付ける力は及びません。フリーな状態です。ある程度こうなることは予想できたのですが、Aに比べてBの面積を十分確保できれば、その影響は少ないだろうと思ってました。しかし実際に出来上がったマスクはA>Bだったので、「だら〜ん」が強調されてしまったのですね。
写真14 上から見た図

特に今回のマスクは鼻先が尖っているので、首を振ると先端がひらひらしますよ(笑)。

同じ「二重底構造」でも「拘束防水マスク4」のようにラミネート生地で作ればもっとしっかりと形状を保つでしょうし、寸法の誤差も少ないと思います。

もうひとつ判ったことがあります。

写真15 耳紐の取付位置とテンションの関係

耳紐をループ式(写真15の黄色い破線)にする場合、耳紐の取付間隔は耳の上下丈と同じくする必要があります。でないとゴムが縮まろうとする力でサイドがたるんでしまいます。(詳しくは「プリーツマスクの設計」を参照)

これを実践したのはよかったのですが、そうするとマスクを引っぱる力は現状と書かれた向きにはたらきます。プリーツマスクならこれでOKですが、喉まで届く大型立体マスクの場合、喉元を引き寄せるようにしないと、あご下がたるんでしまいます。プリーツマスクのあご部分がぱかぱか浮くのと同じ原理ですね。

というわけで、あご全体を覆うマスクに耳ループ方式は不向きなようです。
装着の手間を考えると、耳ループにしたいところですが。

写真16 結局、後頭部でクロスさせるようにしました。末端処理はものすごく適当です。ピンクの耳紐がエロいですね(笑)

今回は初めてチャレンジした構造だけあって、問題点がたくさん見つかりました。特に、切り出し→縫製の段階で寸法に誤差が生じてしまった原因は謎です。また写真にはありませんが、2枚重ねて縫っては4枚重ねてまた縫うようなことをしたので、工程の合理化が必要なようです。マスク2個分のパーツを作るとはいえ、時間も掛かりすぎました。(「拘束防水マスク5」より掛かってます)

現状の腕前では、通勤用マスクとして同じ着用感を得るためには、二重底ではない通常の構造に戻してインナーマスクを工夫したほうが現実的だと思いました。今回の成果は大型立体マスクの設計のカンどころが少し見えた事と、「サテン+起毛フェルト」という素材の心地よい感触を発見した事です。

最後に余談ですが、今までもこのような失敗はたくさんしています。それでも作りかけでゴミ箱へポイ、に1つもならなかったのは、「何か成果があるはず」という思いと「今回はあくまでも試作、試作…」と自分に言い聞かせながら作っているためです。特に後者は、失敗した時の精神的ダメージがかなり軽減されます(笑)。同じ裁縫でも服のように作るのが大変な物に比べればマスクはお手軽ですから、次につながるヒントが何か得られればいーや、ぐらいの気持ちでトライできるので助かってます。このへんが「着用派マスクフェチの自由研究」と称するゆえんです。小学1年生でガーゼマスクの感触に目覚めた成れの果てがこんな形になるとは、人生わからないものですね(笑)。

2011.11.13

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