異次元マスクHYPER
ウォーキング用マスクと融合

前回作った「異次元マスク」は史上最高の着用感と銘打った通り、自分でもびっくりするぐらい素晴しい出来でした。その印象は3ヶ月経った今でも変わっていません。いろんな素材で作ったこのマスクを日々愛用しています。

今回はそれを発展させ、「拘束防水マスク」シリーズのような首ベルト一体型マスクを作ってみました。狙いは次期ウォーキング用マスクの試作と、「自作マスク通販のコーナー」のバリエーション拡充です。

これまで作った立体マスクはすべて「超立体マスク」と同様、左右対称の平面構造でした。この構造は、マスク部分は満足のいく形ができますが、首ベルト一体型にすると、あごから首にかけて急激に変化する曲面についていけず、首のたるみとなって現れました(右図)。

これを解消するにはマスク本体と首ベルトを別部品とし、両者を立体縫製する必要があります。

立体縫製の難しさは「ナイロン+ゴム張り 全頭マスク」で嫌というほど味わったのですが、あごを均等な圧で包んでくれる「異次元マスク」の着用感はぜひ取り入れたかったので、再度チャレンジしました。

喉はぴったりフィットしてますが、側面がたるんでいます。(「拘束防水マスク3」より)

まずは型紙作りからです。

写真1 構造検討モデル

「異次元マスク」を着けた上から適当な布を首に巻き、現物合わせで輪郭を描きます。これで割り出した形で、適当な布で全体を試作します。それが写真1です。紙だとすぐ破けるので、最近は布で作ることが多いです。

このモデルでは最小限の縫製だけ行ない、フィット具合と縫う手順を確認します。最大の目的は「立体縫製がちゃんとできるか」です。

写真2 平置きすると首ベルトが凸凹するのが立体縫製の証です。

写真3 首のたるみがだいぶ解消されてますね。見た目に目をつぶれば、このモデルでも十分マスクの役割を果たします。 写真4 こういう2ピース構造です。

試着したらこんな具合になりました。
普通の布ですが、よくフィットし、かなり息苦しいです(笑)

では、いよいよ本物を作ります。
マスク本体の作り方は「異次元マスク」とほぼ同じです。

写真5

写真5
白い綿ジャージ×3枚に、水色のソフトエナメルを表地として重ねます。首ベルト一体型にするとかなり息苦しくなることがわかっていましたが、あえて通気性のない素材をチョイス(^^)。市販化に際しては、ここを起点として「息苦しさを緩和する」方向に展開します。

写真6

写真6
周囲を仮縫いしますよ。
この後ミシンで本縫いし、左右を合わせます。

写真7

写真7
ここは首ベルトと合体させる時に本縫いします。

写真8

写真8
首ベルトも同様に、切り出し→仮縫いと進めます。

写真9

写真9
マスク本体と縫い合わせる部分以外を本縫いしましたよ。

写真10 こんな感じで。
写真11 合体イメージ。

さあ、立体縫製で合体させますよ。
一番のヤマ場です。

写真12

写真12
まず、縫合線をチャコペンで描きます。
また合体する時にずれないように、左右の中心線も描いておきます。(縦の線)
マスク本体側も同様に。

写真13

写真13
縫合線はこんなに違うラインになります。
これを無理やり合体させることで、布地が歪み、立体になります。
写真では分りにくいですが、2本の線は同じ長さですよ。
(長さが違うとパフスリーブのようなギャザーになってしまいます)

写真14

写真14
縫合線より外側(上)は縫いしろです。
2つのパーツを合体させる場合は、縫いしろは縫合線と平行にとり、その幅は両パーツで同じくする必要があります。なぜなら、生地が透明でない限り、2つの縫合線がちゃんと重なっているかは見えず、上端で合わせることになるからです。ここがポイント。全頭マスクを作った時に合わせ目がずれてしまったのは、この配慮がなかったからです。

立体縫製についてはこんな感じで、全頭マスクでの痛い経験が随所に生きてますよ。

写真15

写真15
慎重に位置決めをしながら、待ち針で固定していきますよ。
まず左右の中心で合わせ、そこから端へと進めます。
一番手間のかかる作業です。

写真16

というわけで、なんとか合体しましたよ。

写真17 おや? 合わせ目がずれてますね…。
写真18 でも、これぐらいなら誤差の範囲。内側を縫って余白を切り落とします。
写真19 畳むと首ベルトにしわが寄るのが、立体縫製の証です。

あとは、ふちどりやら、細かいパーツを付けて完成です。

写真20

写真20
全周をバイアステープでふちどりしますよ。
上辺には2mmφのアルミワイヤーを封入します。

写真21 耳紐を通すハトメを打ちます。
写真22 首ベルトの固定はスナップボタンです。
写真23 淡色の防水生地に白いスナップ、なんとなくオムツっぽいですね。
写真24 叩き込み式(?)スナップボタンの構造。

写真24
このスナップボタンはハトメのように、打具を使ってトンカチで叩き込むタイプのが売ってます。これなら裁縫道具がなくても付けられますね。「レインコートフード」で使ったのもこのタイプです。私はボタン付けとかできないんですよ(^^;)

というわけで完成です\(^o^)/

写真25 異次元マスク HYPER (制作時間:5時間)
写真26 裏面です。ふかふかの綿ジャージ。
写真27 合体部分です。これならまあまあの出来かな?
写真28 首ベルトの末端処理。長めのバイアステープを付け、端を折り返して留めました。
写真29 写真17でズレちゃった箇所もこの通り、結果オーライです。

では、いざ試着!

あ、首ベルトがたるんでる…。

仔細に観察したところ、原因はこうでした。

  • 縫合線がちょっと下へずれた。
    写真27をよく見ると、合わせ目のちょっと上のところに薄いピンクの線が見えます。
    これが本来の縫合線です。orz
  • インナーマスクを着けたら、あごが下へ膨らんだ。
  • バイアステープのぶん、丈が上下に伸びた。
いずれも「構造検討モデル」では発覚しなかった点でした。

でもまあ、シワは水平に走ってますので、立体縫製の効果はあったと言えるでしょう。二次試作では首ベルト全体を1cmぐらい細くしてみます。

着用感はいいですよ。異次元マスクで得られた「ふかふかに厚い生地が均等な圧で顔全体を包んでくれる」感じはキープしたまま、その包まれ感が首全体へ拡張された感じです。下方へのエア漏れがほぼゼロになったせいか、ものすごく息苦しいです(笑)。安静にしていても、呼吸がだんだん深呼吸になってきます。やばいですね。日常的に着けるというよりはプレイ専用ですね。防水生地おそるべし。

これまでの立体型マスクではノーズパッド頭頂ハーネスなど、息苦しさを高めるギミックをいろいろ凝らしてきました。しかし今回のマスクは、それらに勝るとも劣らない着用感が得られます。基本となるマスク本体をまずしっかりと作り、それに手を加えていくほうが、結果的には良いものができるんだなと実感しました。

ところでこのマスク、実はもうひとつの狙いがあります。

それは、かつて「ネックウォーマー一体型マスク」で発見した自己完結暖房の検証です。呼気がマスク内を伝って首まで回ることで、体の冷えを緩和しようという目論見です。よく、熱中症の予防に首を冷やすと良いと云われます。その裏返しで、首を温めると体全体が暖まるんですね。呼気に含まれる熱エネルギーは大気中に放出されるだけです。窒息しない限り(笑)無限に、しかもタダで供給される熱源です。これを使わない手はありません。寒い所で軽作業をする人にいいんじゃない? と思ったわけです。バイクに乗る人とか、駐車場の誘導係とか、あるいは冷え性の人とか。

※以下、使用者の感想です(笑)

実際、着けて30分ぐらいすると体が中から暖まってくる感じがします。1時間ぐらい経つとじんわり汗が出てきて、服を1枚脱いでちょうどいいぐらいになります。これは狙い通りでした。ソフトエナメルでは絶望的に息苦しいですが(笑)、ノーマルな生地にすればじゅうぶん実用になるでしょう。使い捨てカイロなんかよりずっと効果があるように思います(あくまでも個人的には)。なんといってもタダというのがいいですね。

というわけでこのマスク、細部を改良して、ぜひラインナップに加えたいと思います(^^)

写真31 この個体はプレイ用にしますよ。
写真32 参考までに生地のアップを。

2011.2.11

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